【天使の片翼】
・・みんな、大丈夫なのかしら。
暑さに慣れてないせいか、それともここ最近良く眠れていないせいか、
ファラは、生あくびをかみ殺した。
その横で、同じようにソードが、苦しそうな表情を見せる。
・・今日はやけに、暑いな。
気分が、悪い。
ソードは視線を上げ、それが、エリシオンのせいだろうと考えた。
カルレインが来ると聞き、内心ファラ以上に飛び跳ねていたら、
代理だと言って挨拶をしたのは、第一王子だという。
憎くて堪らない男の息子が、ルビドの隣にのうのうと腰をおろし、
堂々と会話を成立させている。まるで、対等の立場で。
本来、あの場に座すべきは、自分なのだ。
それをなんで、こんな隅の目立たない場所で!
ソードは、軽く舌うちをした。
居並ぶ大勢の王子たちに、悟られない程度に。