【天使の片翼】
唇と唇が触れそうな距離で、カルレインは、わざと艶やかに呟いた。
「俺は、こうやって、ちゃんとお前に、告白しているぞ」
・・まぁ、俺も最初から、きちんとできた男ではないからな。
ソランが本気なら、告白くらいは、する気になるだろう。
その結果がどうなるかは、誰にもわからない。
「・・今は、政務中でしょう?」
真っ赤になったリリティスが、体を離すようにカルレインの胸を押す。
同時に、顔を背けて、なるべく距離を取ろうとあがいている。
「その通り。王と王妃が子供を作るのは、国の未来のため。
つまり、政務ということだな。次は・・・、女がいいな」
カルレインは、リリティスの顎に手をかけ、無理やり自分の方を向かせる。
・・その態度が、男を煽ると、どうして気づかないのか。
「んんっ!」
そのまま、リリティスの唇を強引にふさいで、文句ごと飲み込む。
窓から入る風が、リリティスの銀糸のような髪を、ゆらゆらとなびかせた。