【天使の片翼】
・・今日は、雪でも降るんじゃないかしら。
体が辛いとはいえ、何も言わないソードを見て、ファラは目を丸くしたが、
先ほどまでと同じように、再び扇でソードを扇ぎ始めた。
「試合はまだ終わってないのよ。
本当は、シドがいたほうがいいんでしょうけど、まだ勝ち進んでるから。
あなた、倒れたのよ。覚えてる?」
「そう・・・か」
覚えてはいないが、ファラの言うことが嘘ではないのは、この状況から間違いないだろう。
・・まぁ、嘘をつくような頭もなさそうだしな。
自分を介抱しているファラを一瞥してから、ソードは、瞳を閉じた。
そのまま、しゃべり始める。
「で、なんでお前がいるんだ?
お前も、試合を見に行けばいいだろ」
投げやりな、口調。