【天使の片翼】
乾燥した空気が、生き物のように、体にまとわりつく。
それは、まるで重さを持っているようで、鉛のように重い体を寝台へと沈み込ませる。
それなのに、なぜかそれを苦痛と感じず、ソードは軽口を叩く気になった。
「不細工め」
何の説明もいらない、明瞭な悪口。
「なによ!」
やはり、きた。
本当に、かわいげがない、ファラは、そう思ったが。
「十人並の顔のお前が、眉間にしわなんか寄せたら、ブス以外の何者でもないんだよ。
そんなこともわからないなんて、やっぱりお前は、猿並の頭脳だな」
ファラは、なぜだか、悪意を感じなかった。
ものすごく失礼な発言をされているというのに。
言葉の表面は思いやりのかけらも感じさせないが、その口調に、いつもよりとげを感じない。
むしろ、暖かく聞こえるなどと言ったら、笑われるだろうか。