【天使の片翼】
固く絞った手ぬぐいで、ソードの体を丁寧に拭いていると、
始め暴れていたソードは、観念したのか、おとなしくなった。
俯いたまま、顔をあげようとしない。
「なんか、顔赤いわよ。大丈夫?
暑さで倒れただけかと思ってたけど、熱でも出たんじゃない?」
「う、うるさい!」
一体、誰のせいだと思っているのか。
・・ついさっきまで、ぽろぽろ泣いてたくせに。
詐欺師みたいじゃないか。
ソードは、そっぽを向いたまま、体が、清められていくのを感じていた。
綺麗になった体に、肌触りの良い衣を羽織らされると、
さっきまでの不愉快な火照りが、嘘のようにひいていく。
「はい、じゃあお水飲んで」
新しく注ぎなおした水を手渡され、舐めるように口をつけると、
喉が渇きを思い出したかのように、それを吸い込んだ。