【天使の片翼】
それを嬉しそうに眺めながら、ファラは、ごくりと喉を鳴らす。
なみなみと注がれた水を飲み終えると、ソードは、はあ、と息をついた。
どうやら、やせ我慢をしていただけで、体はそうとうに水分を必要としていたらしい。
と。
「ね、その器、私も使っていい?」
なんのことだかわからずに、ソードは、眉間にしわを寄せる。
「私も、水が飲みたいの。喉がからからで」
「なんで、これなんだ?」
これ、と言いながら、ソードは自分の掌にある器を持ち上げた。
「一緒に飲もうと思って、椀を二つ持ってきたのに、割れちゃったんだもん。
お願い、ちょっと貸して!」
そう言うと、ファラは、ソードの手からひったくるように椀を奪い、
水差しから水を注ぐなり、一気にそれを飲み干した。
はぁはぁと、息継ぎをすると、続けてもう一杯飲みきった。