【天使の片翼】
・・こんなにいいお天気の日に、寝台にいるなんて、つまらないわ。
リリティスは上着をはおり、庭へとおりる。
そこは建物の奥まった、とても静かな一角にあり、急改造したとは思えない居心地の良さだ。
「ねぇ、ルシル。
今日は、この庭を少し散歩したいわ。いいでしょう?」
リリティスは、両手を胸の前で組んで、大きな瞳で訴えてくる。
ここのところ、調子の良くなかったリリティスが、積極的に散歩したいというのだ。
別に、危険があるわけでもないだろう。
そう考えて、ルシルは、わかりました、と答えた。
リリティスの後ろにつき従い、ルシルも周囲を散策する。
外部からは人が入れないつくりになっているので、警戒する必要もない。
二人は、少しの間おしゃべりをしながら、庭を一周して回った。