【天使の片翼】

それがね、とファラはエリシオンに相談した内容を、そのままレリーに預ける。


「私ね、ソードのこと、愛せるって思ってたの。

仲良くしてれば、そのうちいやいやじゃなく、結婚できるくらいになるだろうって」


初対面で、いきなり好きになれと言うのは無茶かもしれないが、

婚約者として、心を砕いていれば、そのうち愛が芽生えてくるのだと、そう信じてた。


のだが。


「最近、ソードとも、だいぶ仲良くなれたような気がするのよ。

ちょっとだけ、彼の事を理解したような気もするし。けどね」


そこで、ファラは言葉を切ると、露台へ向かって歩き出した。

そっと窓に触れると、ひんやりとした温度が、指先を伝って流れ込んでくる。


「それって、なんだか男女の愛っていうものとは、ちょっと違うような気がして」


他の侍女たちには、ここまで腹を割って話をしたりはしなかったが、

レリーは、自分と年が近いせいもあり、ファラは彼女と意見を交換したかった。


ソードを呼び捨てにしたことに、一瞬だけ見せたレリーの動揺。

心がはやっていたからか、ファラはそれに気づかなかった。




< 200 / 477 >

この作品をシェア

pagetop