【天使の片翼】
純粋な期待を向けられて、断りきれず。
ひょっとしたら、レリー自身も誰かに聞いてほしかったのかもしれないが。
誰にも内緒にしてくださいね、と前置きしてから、レリーは静かに口を開いた。
「私の好きな方は、その、とても素敵な方で」
頷いて相槌をとりながら、その一言も聞き逃すまいと、ファラが全神経を耳へと集中する。
「気高くて、やさしくて、笑顔のとても似合う方なんです」
レリーは、言いながら、まるでそこに意中の人がいるかのように、うっとりとした瞳になる。
「それで、その・・小さい頃からよく遊んでいて」
「えっ?幼馴染なの?」
ファラは、思わずレリーの言葉を遮った。
幼馴染。
・・それって、私とソランみたいな関係ってことよね。
ソランの顔を思い浮かべる。
確かに、やさしくて、笑顔が似合う。
気高いといえば、言えるかもしれない。
・・剣の腕も、私より上だし。