【天使の片翼】
ファラは、ソランの顔を思い浮かべて、椅子に腰掛けた。
その隣に、遠慮するレリーを無理やり座らせると、その続きを聞かせるようにせかす。
まるで、小さな子供が、母親に寝物語をねだるように。
「幼い頃から、彼は私の憧れだったんです。
だから、気がついたら、す、すきになってたというか」
・・本当に、その人のことが好きなのね。
真っ赤になってうつむくレリーは、純情で、まさに恋のお手本そのものだ。
「好きって、どんな感じ?」
「どんなって。
なんというか、その人の全てが気になるというか。
その人と同じ空気を吸ってるだけで、何か幸せな気分になって・・・。
会ってる時は、その人がどんな表情をしてるかとか、凄く気になって、胸がときめくんです。
会ってない時も、無意識にその人の事を考えてしまったり」
自分でも饒舌になりすぎたと思ったのか、それともファラが、感心したような顔で自分を見ているのに気づいてか、
レリーは、はっとしたように、すみませんっ、と頭を下げた。