【天使の片翼】

ファラは、ソランの顔を思い浮かべて、椅子に腰掛けた。

その隣に、遠慮するレリーを無理やり座らせると、その続きを聞かせるようにせかす。

まるで、小さな子供が、母親に寝物語をねだるように。


「幼い頃から、彼は私の憧れだったんです。

だから、気がついたら、す、すきになってたというか」



・・本当に、その人のことが好きなのね。



真っ赤になってうつむくレリーは、純情で、まさに恋のお手本そのものだ。


「好きって、どんな感じ?」


「どんなって。

なんというか、その人の全てが気になるというか。

その人と同じ空気を吸ってるだけで、何か幸せな気分になって・・・。


会ってる時は、その人がどんな表情をしてるかとか、凄く気になって、胸がときめくんです。

会ってない時も、無意識にその人の事を考えてしまったり」


自分でも饒舌になりすぎたと思ったのか、それともファラが、感心したような顔で自分を見ているのに気づいてか、

レリーは、はっとしたように、すみませんっ、と頭を下げた。




< 203 / 477 >

この作品をシェア

pagetop