【天使の片翼】
その時、一人の侍女が、ファラのもとへとやってきた。
戸惑いが、滲み出た顔。
「ファラ様。
あの、ソード様がお見えになっておりますが、いかがいたしましょう」
ぎょええっ!とファラは、蛙がつぶれたような声を出す。
こちらから訪ねることはあっても、ソードが自分に関心を寄せたことなどついぞない。
ひょっとして、何かたくらんでいるのではないか、などと、余計な考えを抱いてしまいそうになるが。
「いいわ、お通しして」
ソードの来訪で、ファラの思考はいったん途切れたはずなのに。
・・シドも、ついてきてるのかしら。
またしても、シドのことを考えてしまった自分に、
ファラは戸惑った。
これではまるで、さっき聞いたレリーの恋の話みたいではないか。