【天使の片翼】
蝋燭の炎が、静かに見詰め合う二人を見守るように、輝いている。
良い雰囲気だと誤解した侍女が、レリーに部屋を下がるよう掌で合図した。
そのまま、一礼すると、背中を向けて歩き出す。
レリーも同じようにぺこりと頭を下げると、先輩の侍女について扉をくぐろうと歩き出した。
その時。
「その、昼間は・・・ありがとう」
囁くようなソードの台詞が、レリーの歩みをピタリと止めた。
時が止まったように身動き一つしないが、零れ落ちそうなほど大きな瞳が、かすかに揺れている。
「昼間?」
「これは、花の礼だ」
そう言うと、ソードは、後ろに隠していた左手をファラの前に差し出した。
「え、これって、腕輪?」
金色に輝く腕輪には、細かな細工がされていてきらきらと輝く石が埋まっている。
「ちょ、ちょっと!これって、凄く高価なんじゃないの?」