【天使の片翼】
「う~、さむっ」
いつも以上に寒気を覚え、ファラは夢現の中でうっすらと瞼を持ち上げた。
かけた毛布を肩まで引き上げ、猫のように丸くなる。
なんだか体のあちこちが痛む気がする。
ぼんやりとそんな事を思いながら、
寝返りを打った拍子に、膝が何かにぶつかった。
・・んん?何かしら?
どうも、曲げた膝が、壁に当たったらしい。
広い寝台で、壁に当たるなどひどい寝相だなと思いつつ体をひねると、
薄茶色の布が、天上から垂れ下がっているのが見えた。
目玉だけを、ゆっくりと左右へ動かす。
低い天井。
窓のない部屋。
・・なに?!
ファラは、上半身を起こすと、目をこすりながら、もう一度、
今度は、首をめぐらせて、周囲を見渡した。