【天使の片翼】
・・私の部屋じゃない、わよね?
何度見直しても、そこは昨日寝たはずの自分の部屋には見えない。
寝台だと思っていた自分が横になっている場所も、
床の上に直接厚手の布を敷き詰めてあるだけだ。
寝ぼけた頭を回転させるが、何も浮かんでこない。
・・昨夜は、確かレリーと話をして。
その先が、どうしても浮かんでこない。
自分の着ている衣は、昨日レリーが着替えさせてくれたままだ。
ファラは、立ち上がると出口を探して歩き始めた。
そこは、円筒形の建物のうえに、円錐形の天上がのっかったような造りをしていて、
全体が革のような物で覆われていた。
大人が5、6人横になれば、いっぱいになってしまいそうな広さだ。
壁伝いに手を当てながら、ぐるっと一周回ると、
ちょうどファラが寝ていた対角線上の位置に、何重にも布が重ねられた入り口を見つけた。