【天使の片翼】
すぐにその理由は判明したが。
「ちょ、ちょっと、カルレイン様!
今は、まだ陽が高いのですよ。控えてください」
「夜なら良いのか?」
そういうわけではありません、と声を上げながら、
リリティスは体をまさぐってくるカルレインの動きを止めようと、手首を掴んだ。
そのとたん、手を反されて、逆に手首を掴まれる。
そのまま掌を滑るようにして五本の指を広げられると、それぞれの指の間に、カルレインの指が割り込んだ。
「両親の仲が悪いと、子どもたちに悪影響が出るぞ」
「まぁ!」
いつものことながら、なんて言い訳のうまい人なのだろう。
そして、口がうまいと思いつつも、その魅力に負けるのは自分が弱いせいなのか。
最後まで拒絶できるわけもなく、リリティスはあっさりとカルレインの唇を受け入れた。
久々にカルレインの体温を直に感じて、リリティスは、自分もさびしかったのだと素直に思った。
カルレインのいない日々は、自分にとって、太陽の欠けた空を眺めているようなものだ。
触れられた体が、どこまでも熱くて、リリティスはこの幸せがいつまでも続くに違いないと確信を持った。