【天使の片翼】
「どうしたの、こんな夜中に」
「ん?ちょっとな。
最近二人きりになったことなかったから、話でもしようかと思って」
ソランは、衣についた小枝や木の葉を両手ではらいのけた。
「そういえば、確かにそうかも。
旅の間は、ソードたちが一緒だったし、護衛の兵士もわんさかいたしね。
で、一体何の話?」
努めて明るく、ファラは話を促す。
「まぁ、俺の話はいいんだけどさ」
「何よそれ」
苦笑して、ファラはソランを見上げた。
また少し、身長が高くなっている。
わずかに首を上げれば届いたはずのソランの目は、精一杯首を傾けなければ届かないほどだ。
置いていかれた。不意にそう感じて悲しくなる。
「そういえばさ」
ファラは、自分を見つめるソランの瞳に、弱い心を見透かされそうな気がして、
慌てて自分から話題をふった。
「ソランはやっぱり知ってたの?レリーと父様が連絡を取ってたこと」