【天使の片翼】
天空の星たちのように、ファラの瞳がきらきらと光って濡れている。
「ほら。今日だけ僕の男らしい胸をただで貸してやるから」
胸をぽんと叩きながら、突き出してみせる。
軽妙な言葉とその仕草に、ファラが思わずぷっと吹き出した。
「何言ってるのよ」
「いいから、ほら」
ソランの腕が、ファラの体を優しく包み込む。
暖かい胸に顔をうずめると、ファラはもはやあふれる涙を止めることができなかった。
大きな掌が、何度も何度も優しく自分の頭を撫でていく。
そのたびに、次々と新しい涙が湧いてきて、ソランの衣に湿り気を与えた。
星が大幅に位置を変えても、二人は一言も口をきかず、抱き合ったままだ。
まるで宇宙と一つになってしまったかのように。
やがて、ファラの泣き声が小さくなった頃、ソランが囁くようにやさしく耳打ちした。