【天使の片翼】
「ソード様」
枕に顔をうずめ日当たりの良い部屋の寝台にうつぶせになるソードに、レリーが声をかけた。
返事は、ない。
城の中でもかなり日光の当たるその一室を、ソードは与えられていた。
日当たりの良い部屋がいいはずだから、というファラの一言で、
そこが用意されたらしいということを、ソードはレリーから伝え聞いていた。
ホウトの城で、陽射しをさえぎるもののない部屋にいたから、そう推測しているのだろう。
・・くそっ!
なんで、こんなにいらいらするんだ。
きっと眠いせいだろう、とソードは思った。
昨日はほとんど一睡もせずに、あの馬鹿な連中に付き合ったのだ。
疲れているのは当然だ。
でもなぜか、胸の中が霧がかかったようにもやもやとしている。
ソード様、と何度か呼ばれた後に、声だけで答えた。