【天使の片翼】
うん、という返事は、リリティスの胸の中でくぐもって響いた。
お互いに涙目で笑った時、ソランの姿が彼女たちの前を横切っていった。
それを目で追うファラを見て、リリティスはいたずらな笑みを浮かべる。
「ファラ。まずは、あなたのもう片方の翼を見つけなくてはね」
「翼?」
「そうよ。人は一人では生きていけないものだから。
あなたにぴったり合う、翼を持っている人が必ずいるわ」
片目を瞑るリリティスがソランを見ているのに気づいて、ファラは頬が熱くなるのを感じた。
「母様!」
ふふふ、と笑ってリリティスはカルレインたちの輪の中へ歩き出す。
頑張ってね、と笑いながら。
・・もう、母様ってば!
何を頑張るのよ!