【天使の片翼】

うん、という返事は、リリティスの胸の中でくぐもって響いた。

お互いに涙目で笑った時、ソランの姿が彼女たちの前を横切っていった。


それを目で追うファラを見て、リリティスはいたずらな笑みを浮かべる。


「ファラ。まずは、あなたのもう片方の翼を見つけなくてはね」


「翼?」


「そうよ。人は一人では生きていけないものだから。

あなたにぴったり合う、翼を持っている人が必ずいるわ」


片目を瞑るリリティスがソランを見ているのに気づいて、ファラは頬が熱くなるのを感じた。


「母様!」


ふふふ、と笑ってリリティスはカルレインたちの輪の中へ歩き出す。

頑張ってね、と笑いながら。



・・もう、母様ってば!

何を頑張るのよ!



< 392 / 477 >

この作品をシェア

pagetop