【天使の片翼】
くすり、とソランが笑った気配がした。
「そ・・・っか。そ、れじゃあ、僕は、死ね、ないな。
あの世まで、ファラ、が、怒って、追いかけて・・・き、そうだ」
「そうよ。ソランは約束したんだから。
ずっと私のこと見守ってるって。約束を破ったりしたら、私、私・・・」
声がかすれて、それ以上は音にならない。
けれど、衝動的に口にした。
「ソランが、好き。
私、
ソランが好きなの」
小さい頃から、ずっと自分を見守ってくれた幼馴染。
あまりに近すぎて、その存在を感じ取れないほどにぴったりと寄り添って。
シドを失って、初めてわかった。
彼に感じていたのは、淡い憧れ。
自分の知らない世界を知っているシドに、心を奪われた。
彼の死に心が痛んで傷ついても、自分は再び立ち直ることができた。
それは、ソランがいたから。
もしもソランを失ったら。
その喪失感に、自分は耐えることができるだろうか。