【天使の片翼】
「頭を上げてください。ファラ王女。
私は、ホウト国、第九王子、ソードです」
少女とも、少年ともつかぬ、奇妙にかすれた声。
不思議に思いながらも、ファラは、ゆっくりと頭を上げた。
・・え?
えええええええ?!
この方が、私の相手?
だって、どう見ても・・。
「私が、子供だとわかって、がっかりなさいましたか?」
ファラが、取り繕うことを忘れ、驚きをそのまま顔に出したせいだろう。
ソードが、気遣うような微笑を浮かべて、ファラを見ている。
「いいえ!まさかっ!
ただ、てっきり、すごく年上だと思っていたので、驚いてしまって」
王の年齢から考えれば、自分より、一回りくらい上だと思っていたのだ。
自分の父より、はるかに年上の、ルビドの子供。
でも、目の前にいるのは、どう見ても、自分より年下・・に見える。