【天使の片翼】

くりくりとした、茶目っ気のある、大きなうす緑色の瞳。

まだひげも生えていない、つるつるとした、少女のような白い肌。


声がかすれているのは、声変わりの途中なのか。

身長も、自分とたいしてかわらなそうだ。


ファラの様子に気づいて、

ひょっとして、ソードの事をお聞きではなかったのですか?

と、ルビドが怪訝そうな顔をした。


「ソードは、今年で13歳になります。

実を言うと、私の息子ではなく、甥の子供に当たるのですよ。


ですが、甥が若くして亡くなってしまったので、私の養子にしたのです。

カナンの国王様は、ご存知のはずなんだがな。

あなたの相手に、わざわざソードを指名してきたくらいだし」


「え?父が、ですか?」


ファラの質問をさえぎる形で、ソードが口を挟む。


「父上。姫君はお疲れだと思います。

ご挨拶はこれくらいにして、お部屋へご案内したいのですが」


少女のような、ソードの赤い唇が、弧を描いた。







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