【天使の片翼】
私がご案内しますから、とソードがルビドに申し出たので、
ファラは、彼と二人きりで、部屋へと案内されることになった。
ソランは、カルレインの書状を携えており、ルビドに滞在の許可を求めるため、謁見室に残った。
「それでは、失礼いたします、父上。
参りましょう。ファラ王女」
ソードが、にこりと微笑んだので、ファラも釣られて微笑んだ。
・・なんか、すごくかわいらしい王子様よね。
生意気なユリとは、大違いだわ。
ファラは、一つ年下の弟ユリレインを思い出して、穏やかな気分になる。
慣れないこの国でも、なんとかうまくやっていけそうだ。
こんなに、いい人ばかりだもの。
安堵したファラは、謁見室の扉が閉まる音と同時に、
ソードの口元の笑みが、一瞬で消え去ったことに、気づかなかった。