【天使の片翼】
「ソード様なら、この時間は、剣の稽古をされているはずですわ」
ファラより一つ年下の、いつも控えめに隅にいる侍女が、
珍しく、一番に口を開いた。
折れそうな細身の体の上に、さらに小さな頭が、ちょこんと乗っている少女。
小さな顔の中には、はみ出しそうなほど、大きな瞳がついている。
「そこへ案内してもらえるかしら。
えぇと、レリー、だったわよね?」
初めて、ファラに、自分の名前を呼ばれ、
レリーは、恥ずかしそうに俯いて、小さくハイと返事をした。
・・なんか、私と違って、かわいいのよね。
一生懸命に、自分の世話をしてくれるレリーを見ると、
なんだか、ほほえましい気分になる。
まるで、妹でも出来た気分になって、ファラは、自然と笑みがこぼれた。