【天使の片翼】

そんな風に、女性らしく扱われた経験の少ないファラは、

一気に頬が、真っ赤になって、口ごもった。


手の甲に感じる、柔らかい感触。

つい最近、どこかで感じたのと同じ。


「え、えと。私」


色々と、考えていた台詞が、あっという間に白紙になっていく。



・・なぜ急に、赤くなるんだ?



ソードは、ファラの様子を不思議そうに眺める。


おかしな女だ。

やはり、女なんていう生き物は、意味不明で、低俗なものなのだろう。


ソードは、疑問を自己完結させると、にっこりと微笑んだ。


一部の隙もない、完璧な笑顔。

生き延びるために、意識的に身につけた、彼の粋を結集させた技だ。


なんの邪気もない、純粋な笑顔。


なぜか、ファラは、その笑顔を見て、胸が騒いだ。


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