《先生と僕》〜タイムトラベルスイッチ〜
「あ〜、暑い暑い。」
ガチャッ!
「やっぱり、ここにいた。
奏人は、ほんっと、自分の部屋にいるより、このおじいちゃんの納戸にいる方が多いわよね〜。
おばあちゃんが、スイカ切ったから、奏人もリビングにいらっしゃい。
エアコン入ってて、涼しいわよ〜。」
「あ……うん。
今、行くよ。」
「あっ!そうそう!
母さん、ずーっと、あんたに渡し忘れてた物があったわぁ!」
そう言って、母さんは、エプロンのポケットから、一通の手紙を取り出した。
「はい、これ。」
「何?………これ。」
「これねぇ、奏人が失踪してる間に家に届いた、国語の福井先生からの手紙なのよ〜。」
「……福井先生から??」
「あなたが帰ってきてバタバタしてたし、福井先生も、あんなことになっちゃって………
すっかり渡しそびれて、遅くなっちゃってゴメンナサイね。
それ読んだら、リビングにいらっしゃい。
甘〜いスイカよ〜。」
バタンッ!
25歳の亜由香からの手紙…………………。