夏祭り
夏祭り
お題「夏祭り」 菜柚×海陸
人、人、人………。
私、菜柚は只今彼氏からはぐれてしまい、
一人で両手にわたあめ&りんごあめという
かなり悲しい格好で歩き回っております。
さっきまで、隣にいたのに。
彼がいなくなって初めて彼の存在が恋しくなる。
まぁったく、かーくんはどこにいっちゃったんだろう……。
段々と不安になっていき、人込みから少し離れた
神社の石段にそっと腰を下ろした。
下に視線を落とすと、足の親指辺りが赤く擦りむけている。
……あちゃぁ…
毎年、こりもせず草履を履いてすりむいてるんだよなぁ。
あらかじめ、持ってきてあった絆創膏を貼る。
確か…去年はかーくんに絆創膏貰ったんだよね。
―――
「いったぁ…」
「あれー、菜柚また擦りむいたの?」
「うん~。ごめーん先行ってて?すぐ行くから」
「りょーかい♪すぐくるんだよ~?」
「あれ、キミどうしたの?」
「あっ…海陸くん?なんでもないよ!!」
「足…擦りむいたんだ?」
「あ、これは全然平気だから気にしないで!」
「ダメ。痛そうじゃん。これあげる―」
そういってかーくんは、絆創膏をくれたんだよね
。
あの時の絆創膏は、はったら痛みがなくなって―
この絆創膏は、ダメだなぁ。
すぐ剥がれるし、痛い―
――――
「あ!菜柚いた!おーい!なーゆーあー」
「あっ!かーくん~!ごめんね、はぐれちゃって」
「あぁ、ホントに菜柚は目を離したら危ないなっ!」
ぺたっ
「あ!かーくんの絆創膏だ~!」
「全く、ダメじゃん。絆創膏貼っておかないと」
「だって普通のだと剥がれるんだもん。なんでかーくんのは剥がれないのかなぁ」
「ん~魔法の絆創膏だからじゃん??」
「あはは~なにそ…」
「れ゛っ!?」
「あはは~なんかキスって痛みに効くらしいよ」
……それ、絶対心の痛みの間違いだって!!
そんなつっこみを心の中で入れながらも、
足の痛みは消えていた私だった。
end