溺れる愛☆零れ堕ちる恋心
「初めて愛実を見たとき、『やばい』って脳内のシグナルが点滅したんだ
どんな女性とも、適当に遊べる自信があった頃だったのに…愛実の笑顔に、俺の心臓を掴まれた気がした
怖かった
はっきり言って、あのときは、真面目に付き合うなんて考えられなかった時期だったから
また綾みたいに、裏切られて一人にされるなんて、ご免だと思ってた
だから、愛実に告白されて、携帯アドレスを聞かれたとき、すげえ嬉しかったけど
気持ちを知られたくなくて、冷たく断った」

『俺…年下と真面目な女って嫌いなんだよね』

フラれたときの紅夜さんの言葉が、私の脳内でリピートされた

本当に、嫌いだと思ったから、かなりショックを受けたのに

紅夜さんがそんな風に思っていたなんて、知らなかった

「もう会えねえなって思って、愛果とも別れた
それが、妹の荷物運びで再会するとは思ってもみなかったよ」

紅夜さんの熱い息が、私の耳にかかる

紅夜さんの顔が見えないぶん、私は再会したときのことを鮮明に思い出していた

視界には、紅夜さんの部屋が見えるはずなのに

私の目には、寮で再会したときの紅夜さんが見えた

「メールアドレスを交換して…嬉しかったけど
まだ、俺には勇気がなかった
きちんと向き合うのが、怖かった
だから俺が最低な男だって、愛実に思ってもらえれば愛実から、俺を離れていくはずだから…旅行にしたんだ
丸一日過ごすなかで、俺が愛実の嫌がることをしまくって、嫌われればいいって
そうすれば、俺の心が楽になると思ったんだ」

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