溺れる愛☆零れ堕ちる恋心
妊娠している綾さん

でも好きな人の子どもじゃない

好きな人の父親の子

どんな気持ちなんだろう

私には想像できないよ

きっと辛いんだろうなあって思えるけど、どんな苦しみで、どんな苦痛なのか

私には理解できない

好きな人がそばにいるのに…手を伸ばせば、触れられる場所にいるのに…

触れられない位置にいる

紅夜さんが扉を閉めると同時に、わっと泣き出す女性の声が聞こえてきた

たぶん、綾さんの泣き声だろう

綾さん、泣いてる

どうして泣いてるの?

紅夜さんはどんな想いで、泣いている綾さんを見ているのだろう

「私、綾さん…嫌いなんだよね」

ぼそっと朱音ちゃんが呟いた

「え?」

私は隣に立っている朱音ちゃんを見つめた

「ダイキライ」

朱音ちゃんの目に憎しみの色が見えた

つま先で軽く壁を蹴ると、朱音ちゃんは上を向いた

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