溺れる愛☆零れ堕ちる恋心
「なら、朱音ちゃんたちは…」

「ええ、会ってますよ
好きな時に、好きなだけ
でも、きちんと夜には帰ってくるようには言ってあります
…て、もう今、家にいるのは長女だけですし、泊りがけになるのを気にしなくてもいいんですけど、ね
紅夜が家にいるときは、とくに気をつけるように言ってました」

紅夜さんを想って…『会うな』って言ってるの?

だから…紅夜さんには冷たい父象で、朱音ちゃんには優しいお父さん像になって、食い違っちゃうの?

「あの…どうして朱音ちゃんのお母さんと別れたんですか?」

お父さんは、「え?」と驚いた顔をした

「あ、すみません
聞くべき質問じゃ、ないですよね」

私はぺこっと頭をさげた

つい、勢いにのって質問してしまった

だって気になるでしょ?

「理由はいろいろありました」

紅夜さんのお父さんは、寂しそうな顔をする

「もしかして綾さん…ですか?
紅夜さんに綾さんを諦めて欲しくて…朱音ちゃんのお母さんと離婚して、綾さんと妻にした…とか?」

お父さんが、目を丸くするとぼとんと紙袋を落とした

そしてにこっとほほ笑むと、首を横に振った

「紅夜には内緒ですよ
それも一つの理由としてあります
でもそれだけじゃないですよ」

紙袋を手に持つと、「よいしょ」っと言いながら階段を上りはじめた
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