溺れる愛☆零れ堕ちる恋心
うん、知ってる
泣き声が聞こえたから……
紅夜さんの手が私の指先を絡めてくる
私指は紅夜さんの手の中に、簡単におさまった
「廊下での俺らのやり取り、全部、綾に聞かれてたみたいだ」
紅夜さんが苦笑した
『お兄ちゃん、騙されてるだけだよ…あの人に』
『もともとが純粋で、真面目なお兄ちゃんだから、たぶん今も気づいていないと思う』
朱音ちゃんの言われた言葉が脳裏で蘇った
『綾自身、誰かを愛するという感情が欠落してますから』
今度は紅夜さんのお父さんに言われた言葉を思い出した
「愛実?」
紅夜さんが、そっと私の頬に触れた
「え?」
「どうした? 大丈夫か?」
「あ、ううん
何でもないよ
話し、続けて」
私は紅夜さんに笑顔を見せた
紅夜さんは綾さんをどう思ってるんだろう
「『ごめん』って謝られた
まだ俺を好きだって、忘れられないって…俺と話をしたときは、父親との恋愛に頑張ってみようって気になったけど
家に一人でいて、すごく不安になったって
俺と一緒になれないなら、手首を切って死んでしまおうって思ったってさ」
紅夜さんは『ふう』と息をゆっくりと吐いた
「それで? 紅夜さんはどう答えたの?」
「その気持ちを、そのまま父親に話せって言ったよ
俺には何もできないって…俺に泣きつかれても、困るって言ったよ」
紅夜さんが、唇を濡らす
紅夜さんの視線が下に向く
泣き声が聞こえたから……
紅夜さんの手が私の指先を絡めてくる
私指は紅夜さんの手の中に、簡単におさまった
「廊下での俺らのやり取り、全部、綾に聞かれてたみたいだ」
紅夜さんが苦笑した
『お兄ちゃん、騙されてるだけだよ…あの人に』
『もともとが純粋で、真面目なお兄ちゃんだから、たぶん今も気づいていないと思う』
朱音ちゃんの言われた言葉が脳裏で蘇った
『綾自身、誰かを愛するという感情が欠落してますから』
今度は紅夜さんのお父さんに言われた言葉を思い出した
「愛実?」
紅夜さんが、そっと私の頬に触れた
「え?」
「どうした? 大丈夫か?」
「あ、ううん
何でもないよ
話し、続けて」
私は紅夜さんに笑顔を見せた
紅夜さんは綾さんをどう思ってるんだろう
「『ごめん』って謝られた
まだ俺を好きだって、忘れられないって…俺と話をしたときは、父親との恋愛に頑張ってみようって気になったけど
家に一人でいて、すごく不安になったって
俺と一緒になれないなら、手首を切って死んでしまおうって思ったってさ」
紅夜さんは『ふう』と息をゆっくりと吐いた
「それで? 紅夜さんはどう答えたの?」
「その気持ちを、そのまま父親に話せって言ったよ
俺には何もできないって…俺に泣きつかれても、困るって言ったよ」
紅夜さんが、唇を濡らす
紅夜さんの視線が下に向く