溺れる愛☆零れ堕ちる恋心
『どうした? 朱音……』

携帯から紅夜さんの声が漏れてきた

紅夜さん、携帯をいくつか持っているのだろうか?

紅夜さんの声を聞くなり、朱音ちゃんの目がつり上がった

「どうした?…じゃないよ!
何してるのさっ!」

『何…って』
『紅夜、先にシャワー浴びてるよ?』

朱音ちゃんの携帯の中で、女性の甘い声が聞こえてくる

…やっぱり

そうじゃないかな?って思ってた

「紅夜兄っ! 愛実ちゃんとデートは?
約束してたんでしょ」

『約束してるよ
これから向かう予定なんだけど』

「何それ…何時間待たせてると思ってるの?」

『待っててくれてるんだろ?
ならいいじゃん』

「よくないっ!」

『どうして? 彼女はどう言ってるの?
怒ってるの?
もう帰るって言ってる?』

本当に紅夜さんは、人の心を読むのが上手だなあ

私がキャンセルのメールが入るまで、待つ女だって知ってるから

怒らないのも理解している

理解してて、やってるんだ

ズルい人…紅夜さんって

「朱音ちゃん、私は怒ってないから
来てくれるなら、ここで待ってる」
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