溺れる愛☆零れ堕ちる恋心
「馬鹿野郎っ!」

耳元で大きな声が聞こえて、私はハッと意識が戻った

目を開けると、私は紅夜さんの腕の中にいた

「あれ……?」

「危うく頭を打つところだったんだぞ」

あ…やっぱり意識が飛んだんだ

紅夜さんは肩を大きく動かして呼吸をしていた

走ってきてくれたのだろうか?

綾さんがいるのに?

どうして?

綾さんと二人きりになれたのに

どうして自分から壊すようなことをするのだろう

「顔色が良くなったって言ったって、まだ血の気の失せた顔なんだよ!
…んで無理すんだよ
どうして俺に頼らねえんだよ」

「え?」

「……もう少し部屋で休んでいけ
明日まで帰らなくていいんだろ?」

「そうだけど…綾さんって人は?」

「肉じゃがだけ置いて帰ったんじゃねえの?」

「いいの?
追いかけなくて? 好きな人なんでしょ?」

「はあ?」

紅夜さんは眉間に皺をよせて、怖い顔をした

「え?」

あれ? 違うの?

「俺、そんなこと…お前に言ったか?」

「言ってません」

「…ったく、女はこれだから面倒くせえんだよ」

え?

どういうこと?
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