溺れる愛☆零れ堕ちる恋心
紅夜さんは床に座ると、視線で私に横になるように合図する

私はベッドに座ると、紅夜さんの顔を見つめた

「やっぱり良くないと思います」

「何が?」

紅夜さんはあぐらをかいて、私を見上げる

「約束です
7時に会うと約束をしたのに、何の連絡もせずに知らんぷりはいけないと思います
何時間も待っていたら相手に悪いじゃないですか」

「菜々は何時間も待つような女じゃねえよ」

「でも…」

「あんたみたいにじとーっと相手が来るまで待っている女とは俺は付き合ってねえんだよ」

『じとー』と待ってないけど?

本を読んで時間を潰してたもの

「5分待って、俺が来なかったら携帯に連絡する
んで、俺が出なかったら…他の男を呼び出して遊び始めるよ
菜々はそういう女だ…てか、そういう女としか俺は遊ばない
わかったなら、さっさと寝ろ」

私はベッドに横になった

でも…やっぱり納得いかない

約束は約束だもの

「あっ!」

私は勢いよく起き上がった

世界がグラリと揺れる

「今度はなんだよ!」

紅夜さんがパソコンに向けようとした身体を、止めると振り返った

「朱音ちゃんに連絡するの忘れてた」

私は立ち上がると、携帯を取りに行こうとした

「俺が連絡するから、あんたは寝てろ!」

「でも…」

「いいから! んでなんて言っておけばいい?」

「朱音ちゃん、帰ってくるのをお菓子を買って待っててくれてるから…」

「わかった
今夜は帰らないって言っておけばいんだな」

「え?」

「は? 違うのか?」

帰らない?

何で?
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