溺れる愛☆零れ堕ちる恋心
貧血の症状が治まったら、帰るよ?

泊るなんて…申し訳なくてできないよ

「少し休んだら、帰ります」

「何で?」

紅夜さんが眉間に皺を寄せた

「え? だって…紅夜さんのアパートだから」

「は?」

「ベッド、一つしかないから
私がいたら、紅夜さんが休めないですよね?」

「昨日、同じ布団で寝た女が何、言ってんだよ
わっけわかんねえの
そんなに帰りたいなら、送っていくけど」

帰りたくない…けど

これ以上、迷惑はかけられないし…

「どうする?
泊る? 帰る?」

「……と、泊ってもいいですか?」

「いいよ」

紅夜さんはほほ笑むと、白い携帯を出した

「もう一つあったんですね」

私はテーブルの上に置いてある壊れた携帯を見つめた

「あ…これ?
家族しかデータは入ってねえよ」

「え?」

じゃ…壊れた携帯に入っていたデータは?

本当にバックアップしてないの?

紅夜さんは携帯を耳につけると、視線を上にして天井を見つめた
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