溺れる愛☆零れ堕ちる恋心
紅夜さんが車の鍵を差し込もうとすると、ドアポケットに入っている携帯が鳴りだした

「…誰だよ!」

紅夜さんは、鍵を太ももの上に置いてから携帯を手に取った

紅夜さんの顔色が変わった

誰からだろう?

私は紅夜さんの硬い表情を見つめた

ごくりと唾を飲み込む音が聞こえると、紅夜さんは携帯を耳にあてた

「何?」

『ごめんなさい
頼れる人がいなくて…』

静かな車内に、女性の声が響いた

…綾さん?

か細い声だった

「親父は?」

『接待で遅いの』

「姉貴は?」

『仕事に行ったわ』

「…で、俺に何の用?」

< 83 / 161 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop