飛べないカラスたち
*




「いつまで眠っているんですか？クロウ、ルック」



その声に反応したルックは勢いよくソファから起き上がって、声の方へと身体ごと向けた。


黒のスーツに身を固め、月色の長い髪を一つに括った、端整な顔立ちをしたその男は起き上がったルックを見て微笑みを向ける。


男の登場に、自分が結局眠ってしまい、しかも寝過ごしたことに気付いたルックは、同居人であるクロウの姿を探す。


すぐに隣室のベッドが目に入り、動く気配も無いその大きな布団の膨らみをみれば、ルックは思わずコメカミを抑えて溜息をついた。


結局二人して目覚めないまま選考会をサボってしまったのである。


毎度のことなので焦りはなく、ただどうしようもない失態に諦めさえ感じていた。



「おはよう御座います、ルック。選考会は終わりましたよ」



「…ごめん、レイヴン……また」



「構いませんよ、お仕事お疲れ様でした。よく眠れましたか？」



時計を見れば、針は15時を差していて、自分の最後の記憶と照らし合わせる。


10時間ほど寝たということらしい。


昨日は三箇所を梯子して、計6人を削除したので、少し疲れていたので妥当な睡眠時間である。





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