飛べないカラスたち
あまりの話の内容に、ルックは少し気後れ気味で、いつもはアニキ風を吹かせて絶対に倒れることなどなかったクロウがベッドで横になっているのを見て、少しだけチクリと胸が痛んだ。
暫くの沈黙が落ちる。
クロウは寝息さえも立てずに、まるで死んでいるみたいに静かだった。
口を開いたのはジャックドー。
「ということで、すまない。急だったから手加減も何もなかった…。クロウが目覚めるのも時間が掛かるだろうから、目覚めるまで情報公開はお預けにしてくれないか?」
「えぇ、構いません…ジャックドー、疲れたでしょうから、あなたも少し休んでください」
「あぁ…そうする、すまない」
ジャックドーはキッチンでコップ一杯の水を入れると客室へと向かい、扉をパッタリと閉めた。
きっと安定剤を飲んで眠るのだろう。
少し不安そうにルックがレイヴンを見上げる。その不安そうな顔に、できる限りの笑顔を返して、レイヴンはルックの頭を撫でる。
「私たちも、もう少し休みましょうか」
「…うん」
眠らなければ、感覚が鈍る。
二人も安定剤を服用して、何かあったときのためにとレイヴンはクロウと同じ寝室に、ルックはリビングのソファで、眠りに着いた。
もうすぐ太陽が昇ろうとしている時刻。
『カラス』たちは眠りに付いた。
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飛べないカラスたち
-End of each-