飛べないカラスたち
*




「出来る限り調べてみたんだが、徹底された機密らしい……これ以上の情報は、入手できなかった」



「つまりはそれほどヤバイってことだろ?」



クロウがシャワーを浴び終わり、皆で朝食をとり終わった後、ジャックドーは重たい口をそんな前置きを置いて開いた。


少しだけいつもよりも緊張した面持ちでそれぞれジャックドーの言葉を待つ。


意を決したのか、ジャックドーが言葉を選びながら、入手した情報を三人に伝える。



「多分、ここまでの機密だから上層部といってもいい。総理かは、わからないが、そこに近い人間たちが、不穏な動きを見せている。具体的にどんなことをしているのかはわからないが……研究室のようなところで何かの研究をしているのは明らかだ。そして、世界で存在している『カラス』が消滅しつつある。全世界で、6箇所。多いか少ないかは何ともいえないが、『カラス』全員の死亡、というのは少し不可解だ」



「私たちの前の『カラス』の方々は引退と言う形で退かれましたし…まぁ、一人は亡くなりましたが…」



口ごもるのは、そうしたのが自分であるからだろう。


特に何も言わず三人は沈黙する。



「『カラス』は多少の訓練期間はあるとはいえ、殆ど一般人だろ。そいつらがプロレスラー相手にしたら再起不能になるまで怪我させられるんじゃねぇの?」



「俺もそれを疑った。しかし、ならば次の『カラス』を作り出す必要があるだろう。だが、『カラス』の存在が消滅した6箇所では、その後『カラス』を作り出した形跡がないんだ」



「『カラス』以上の兵器が、研究所で出来上がったってこと?」



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