飛べないカラスたち
ルックが口元に手を当てて思考しながらジャックドーに問いかける。
ジャックドーは頷きはしないものの、その返答も間違っていないとつけたし、自分の意見を語る。
四人の前に置かれた紅茶やコーヒーはとっくに冷め切っていた。
「方向性はそんな感じだと思う。俺は、『カラス』が不必要になる事態が起こり始めているのだと思っている。それが兵器なのかはわからないが……」
「それでもいいんじゃね?削除音を聞かないで済むし、漸く普通に過ごせるじゃねぇか」
そこで、微かに否定的な言葉を置いて、思考していたレイヴンが机の一点を見つめながら呟く。
「でも……そんなに簡単に、普通の生活に戻れるでしょうか…」
「どういうこと?」
ルックの質問に、ジャックドーはレイヴンと同じ考えなのだろう、レイヴンの言葉を代弁する。
「政府に頼まれていたとはいえ、俺たちは立派な意思のある殺人者だ。俺たちの存在と言うのは政府には必要であり、恐怖でもあったはず。…そのしこりを、政府の汚点を、もしかしたら取り除こうとするかもしれない」
「…殺すってことか」
不愉快そうに眉を寄せてクロウが吐き捨てる。
誰も肯定はしなかったが、否定さえもしなかった。むしろ、どちらかと言えば否定の方がしなかっただろう。
その反応に、クロウは脚を組みなおしてソファにもたれる。