飛べないカラスたち




「それに、明日の選考会、『全員参加』となっているのも少し気に掛かる」



「あ?…毎回じゃねぇか」



唐突なジャックドーの言葉に、クロウが呆ける。


基本的に選考会と言うのは全員参加である。


ただクロウとルックは夜中まで削除作業を行なうことが多いので開始時間に目覚めず、殆どすっぽかしてばかりだが。


そんな他愛のないことを急な話の転換に用いるジャックドーにクロウは微かに首を傾げて、その真意を測れずにまともな返答を返す。


ルックも真意が掴めないらしくクロウと同じように首を傾げて、真意を知りたげだ。


ただレイヴンは、ジャックドーの真意に微かに気付いたようで、机の一点を見ていたその視線を三人にそれぞれに向けて、断言する。



「毎回の選考会に、クロウとルックが来なかった事を特に何も言わなかったのに、今になって『全員参加』を強調するのは、全員を参加させなければいけない理由があるからではないでしょうか」



「あぁ。つまりは選考会とは名ばかり、俺たちに用事があるんだろう」



「じゃあ行ってやればいいじゃねぇか。四人ならあいつ等も迂闊に手出しできねぇだろ」



クロウ、とレイヴンが少し困ったように眉を寄せて窘める。


勿論クロウは間違ったことは言っていないと思っているが。



「迂闊なのは貴方の方です。私とジャックドーは毎回参加しているから顔がバレてはいますが、ルックとクロウはまだ上層部の人間でさえ最後に見たのは数年前なんですから今の顔を覚えていない。呼び出されてノコノコと出てきて、今回の主犯格に二人が知られたら……」





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