飛べないカラスたち
*




「僕、生きたいよ。でも、また全部失ってさ、また手に入れられる保証なんてわかんなくてさ……。代わりが欲しいんじゃないんだ…僕、もう何もいらないから、クロウも、レイヴンもジャックドーもいる、人を殺さなくていいところで、生きたい。一人でも欠けたら、意味がないんだよ」



「殺してくれって言ってたお前が、成長したな」



ジャックドーとレイヴンがリビングで話をしてる中。


ルックはクロウのいる寝室へと入って他愛もない話をし始めた。


最初は、自分が削除音に苛まれたあの頃、クロウがバイクに乗せてくれて救われたことや、ここで過ごしていた日々のこと。


まるで、もう終わってしまうのような声色で話続けるルックの言葉を、クロウは静かに聞いていた。


ルックはクロウと同じく、ここで留守番するなんてことは嫌だと思っている。


それでも、死にに行くのではなく、完全なる形で勝利をし、自分たちの自由を取り戻したいと考えていた。



「少し、怖い。嫌な予感って言うのかな……死ぬのが怖いんじゃないんだ。無くすのが怖い。置いていかれるのが怖い。僕まだ、皆を失って生きていけるほど強くないし、これからもそんな強さ、持てる自信ないよ。一人だけ生き残るなんて嫌だよ、二人でも嫌、三人でも…。だから行かないでね、クロウ。クロウの武器は一番扱いやすくて長距離型だから、クロウ一人で皆削除しちゃえばいいって思うかもしれないけど、僕、やだよ。絶対、一人で行ったりしないで」



クロウの考えることはお見通しのようで、ルックはそう釘を刺した。



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