飛べないカラスたち
ジャックドーやルックのような短距離型の武器や、レイヴンの槍のような中距離型武器とは違い、クロウの拳銃は、敵に近付かなくても命を狙える、唯一の武器だ。
それで削除してしまえば、きっと簡単に終わるだろう。ただし、うまくいけば、だ。
図星を突かれたクロウは溜息をついて「はいはい」と言葉を返す。
クロウは守れない約束はしない主義で、それでも返事をしたということは行動を読まれているのでは、行動したところで意味がないと思ったのだろう。
それを聞いて、ルックは微かに笑ってクロウの腕を引いてリビングへと戻った。
リビングではジャックドーが氷で頬を冷やしながらレイヴンと顔を突き合わせていた。クロウに本気で殴られたのだから、多少は腫れる。
この『カラス』の中で一番力が強いのは僅差でクロウだ。その次に、ジャックドー。脚力に関しては逆転するが。
レイヴンとルックは人並み以上はあるが、それほど力に自信はない。
「……ジャックドー…、悪い…本気でぶん殴っちまった」
「…これでお相子だな、クロウ。俺も本気でお前の鳩尾を殴った」
微かに笑ったジャックドーにクロウも釣られて微かに笑う。鳩尾は死ぬ、なんて冗談を呟きながら。
とりあえずは仲直りをした二人にレイヴンもルックも小さく胸を撫で下ろした。
それでも問題の解決となると渋る。