飛べないカラスたち
暫く真面目に話し合った結果、苦渋の選択をしたのはレイヴンとジャックドーのほうだった。
置いていかれることの悲しみを知っているからこそ、だろう。
何かなければ、それでいい。何かあれば、四人でなら何とか切り抜けることが出来るはず。
という話にまとまり、次の選考会は四人で出席すると言うことになった。それだけではなく、これからは暫く単独行動を控えるように、とも。
今回の選考会では何かがあっても大丈夫なように、クロウはバイク、レイヴンはルックを乗せ、車で行き、何かあればそれで逃げ出し、港で落ち合う。
そして車で海を渡り(今では車で海を渡れるようになっている。重力を無効化させる空間をタイヤと水面の間に作ることで、そこに微かな隙間が生じ、その隙間の上部に一時的なパネルのような薄い地面を車内にあるボタンを操作して作ることで、地面の上を進んでいるような感覚のまま海を渡ることが出来る)犯罪者の受け渡しを日本と行なっていない国へ行く。
外国語も今ではイヤホンマイクがあれば互いの言葉が別々の国の言葉であっても翻訳して聞くことが出来、自分の話した言葉も、相手のイヤホンが言葉を置き換えてくれるので伝えることも出来る。
日本に名残惜しさなど、四人にはない。
頷き合って、選考会までの時間をそれぞれ少し緊張した面持ちで待った。
その夜はとても長く、居心地の悪い夜だった。
気温は機械が操作してくれている、湿度も機械が操作してくれている、風も、全て。それなのに。
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