飛べないカラスたち
*



初めて顔合わせをした時も、この部屋だったな、そんなことを皆は思い返しているのだろう静かに室内を見渡している。


微かに緊張した面持ちで、それでもなんでもない風に装いながら、それぞれ取り出しやすいところに武器を備えて。


選考会はやはり名ばかりで、国事館へ辿りついた時に受付嬢がレイヴンを呼びとめ



『カラスの皆様でしょうか?今日は会議室ではなく、先に応接室へお願いいたします』



と、促したのである。



『なんで?』



問いかけるクロウの言葉にはわかりかねます、の一点張りで、結局四人は応接室へと向かったのだった。


レイヴンは背広の中に柄が伸びる最小化された槍を、クロウはジャケットの中に、シルバーの拳銃を、ジャックドーはジーンズの右足首とパーカーの左手首に短刀を、ルックはパンツのポケットにナイフを仕込んで。


暫くすると総理大臣が現れた。


その顔はテレビで見るのさえ久しぶりで、直接目の前に現れるのはルックとクロウにとっては数年ぶりだ。


もっとも、レイヴンとジャックドーは毎回の選考会で顔をあわせているので懐かしさなど微塵もない。



「漸く四人揃った姿を見たよ」



「すみません、彼らは夜中まで作業をしているのでなかなか…」



代わりにレイヴンが謝ると、総理大臣は、構わないと片手でその言葉を制した。


クロウとルックは謝る気など毛頭ないので総理大臣を黙視している。


四人のいつにない雰囲気を感じ取ったのか、総理大臣はすぐに本題へと入った。



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