飛べないカラスたち
病院服のようなものを身に纏っていて、一人の医師がルックの体内に入れられた内蔵式イヤホンと翼の烙印についての話と、ルックの現状を伝えた。
「君には申し訳ないが、あの家は燃やすことになった。あぁ、母親の方は気にしなくていいよ、気付いていたかとは思うけど、新しい家に住んでるからね。そして、君は事実上死んだということになる。君が殺人事件に関与したことなども知らされていない。その上で、君の罪を償うべき仕事を与えよう。君は『カラス』になるんだ」
「……っ…いやだ、僕は人なんて殺したくない…人殺しで罪が償えるわけが…」
「一度殺したのに?」
「アレは僕じゃない!」
「見ていたなら同罪だ」
男は淡々と述べる。
その言葉に、ルックは何も言えずに医師から顔を逸らした。
そういえばレイとの約束をすっぽかしたままだったことに気付いて起き上がろうとしたが、背中の痛みに思わず叫び声を上げ、ベッドの上でのた打ち回る。
医師は溜息を付くと痛み止めの薬をサイドボードに置いた。
「……僕の友達を殺したやつらの一味になんて絶対にならないからな」
呻くように呟いたその言葉には力強さはない。