飛べないカラスたち


「そんなにあの友人と言うのは大切か?君を悪の道へと導いたのに?」



「じゃあ誰が傍にいてくれたんだよ!!誰が僕たちの道を正してくれたって言うんだよ!!誰がご飯を作ってくれた?誰が学校のテストの点数を褒めてくれた?誰が触れようとしてくれた?誰が僕のことを見ていてくれた?誰が僕のことを心配してくれた?暗い部屋でずっと一人で過ごす気持ちも知らないくせに…、何一つ知らないくせにリクとセイの悪口言うな!!」



ゼェハァ、と息をつきながら一気にまくし立てた言葉を全て、この医師が受け止められるとは思ってはおらず、馬鹿馬鹿しくなったルックは涙が溢れてくる目元をゴシゴシと拭った。



「母親も殆ど帰ってこない、兄は失踪。父親とは連絡も取れない。……そうだな、新しい家族は欲しくないか?」



「……新しい家族…?」



「お前の気持ち次第だが……少なくとも、急に見捨てられることはない。『カラス』は4人で1つだからな。お前と似た境遇の人間ばかりが集まる。今回メンバーが年老いてきたこともあって、新しく再結成しているところだ。今修行を積んでいる…例えばジャックドーと言う少年は、愛していた両親を殺された。君が今……13だから、2歳上だよ」



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