飛べないカラスたち
*




ピ―――――ッ



「あ、あと一人ですね。体調の方は大丈夫ですか?ルック」



「うん、平気」



いち早く仕事を終えた二人は、この後落ち合って話し合いが行なわれることになっているクロウとルックの住むマンションの前へとやってきていた。
先を歩くレイヴンの、その後ろをついて歩くルックは、ふと昔のことを思い出していた。


というのも、レイヴンの歩くもっと先に、脱色しすぎた髪をワックスで散らした少年たちがバイクを蛇行運転していたのである。


そっと首のチョーカーに触れる。


失う恐怖よりも守り続ける強さを手に入れたルック。



「レイヴン、……この後聞く話ってやっぱりいいことじゃないの?」



「そうですね…あまり良いことだとは言えそうにはないですね」



「僕、どんな話でも退く気はないよ」



その言葉に、レイヴンは少し困ったように笑った。そして優しくルックの頭を撫でる。



< 74 / 171 >

この作品をシェア

pagetop