飛べないカラスたち

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「あー、くそー眠ぃ！」



第三地区。かつてあった栃木・群馬・長野を一つにまとめた場所。


森や山の多かった土地を切り開き、海の底に沈んだ、かつての東京のような賑わいを見せるその地区の片隅にあるマンションの最上階30階。


ジャケットを脱ぎながらクロウが静かな室内に響くように叫ぶ。


その後ろで靴を脱いでいたルックは何も言わずに部屋に入ると何をするよりもまず先に、黒のソファにボスッと音を立てて座った。


慣れているとはいえ、眠気が襲ってくる。


人を殺めるという行為は想像以上に疲労感と睡魔を与えてくれる行動だ。


夢の世界に落ちそうな思考を眼を擦ることで何とかやり過ごしながら、ルックは冷蔵庫からビールを取り出すクロウへと問いかける。



「クロウ、今日って何かあった？」



「なぁんも？…あ、やべ。今日金曜じゃねぇか。選考会だ」



「…15時から？」



「いや、今回は人数が多いからって10時からになってたはずだぜ？」



言いながらカレンダーをチェックするクロウは、確認して「やっぱそうだ」と呟いた。