飛べないカラスたち



4人1組の『カラス』たちは選考会で選ばれた、国が定める規定に反する人間、達しない人間を殺すのが仕事だった。


なので、次のターゲットを知るためには国事館というかつての国会議事堂のような建物で行なわれる、選考会への出席が不可欠で、必ず出席するように言われている。


そこには総理大臣も出席するのだから。


が、クロウとルックはここ数年、出席できた例はほぼ無い。


その声に、嫌そうに溜息を返すルック。


睡眠時間がそれほど取れないと気付けば、余計に眠たくなるのが人間だ。


いや、科学交配型ならばそんな人間くさい面倒な遺伝子など組み込んで欲しくは無かった。


おぼろげな記憶しかない両親に不満を微かに抱きながら、それも無意味だと思い直すと、ルックは立ち上がって風呂場へと向かった。


このままソファで座っていたら確実に眠る自信がある。


次こそ選考会に出席しようと思うならば、このまま眠らずに朝を待つほうが得策だ。
が、クロウはそんな使命感はないようで、暢気な声が聞こえた。



「俺寝るわ、俺らが目覚めなくてもレイヴンが行ってくれるだろうし」



「クロウはレイヴンに頼りすぎだよ」



「いいだろ、俺らまだ未成年だし。子供の面倒見るのが大人なんだよ、おやすみ」



溜息を脱衣所において、ルックは風呂場へと向かった。


その様子を唯一、世界中の『カラス』たちが持つ共通点である、翼が鏡越しに見ていた。


焼いた鉄で押された、翼の形をしていながらも飛ぶことは出来ない『カラス』の烙印を。






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